超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。


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今日はデイケアなので本を読んできた。

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今日は月一の外来受診日でデイケアに行ってきた。iPhoneデイケア中にブログの下書きをしたんだけど、あまりにも差別的な表現が多くてボツにした。なんだろうねー、あまりにも不愉快な場所であるというのはこのブログで何度も書いたから読者諸氏もご存知だろう。まぁ僕は月一なんだからちょっとだけ我慢すれば済む話だ。巡回先の同病者の方などは障害が重かったり薬が合わなかったりして苦しんでいる方が何人かおられる。僕は薬の副作用で苦しまなくて済んだから運が良いほうだ。あまり障害を面白おかしく書いたりする表現はやめなきゃなーと思った。


さて、デイケアだから本を読んできたよ。デイケアは拘束時間が長くて時間を潰す方法が読書しかない。今日は3冊ばかり読んできたから感想を書こう。


まず1冊目。『無意識の整え方』前野隆司著。


自己啓発本の様なタイトルだけど内容はもうちょっと心理学に突っ込んだ内容だった。最新の無意識の研究で、「受動意識仮説」というものがある。人間が意識する前に無意識で既に脳波が出ているという内容である。つまりは意識は常に無意識からコントロールされている事なのである。これは想像してるよりずっと重大な事だろう。体を動かそうと思って神経に信号を送り始めるのではなく、無意識から意識自体が操作されて行動を開始しているという事だ。この本では無意識を巡る専門家達と作者の対話で進められる。


その専門家というのは合気道の達人や僧侶、森の専門家、統合医療寄りの医者などである。西洋医学だけで無意識を知っていくと言うのは無理だということだろう。「気」や「悟り」、「アーユルヴェーダ」などは無意識を体系的にまとめることで人間を総合的に健康的にしていく学問である。科学的に脳波を分析するなどして脳の機能を分解していくことは可能だろう。しかし、分解された機能を再構成していった時に人間の意識が再び生まれるとは限らない。「受動意識仮説」という論はそんな可能性を示唆する仮説だろう。なので無意識を知りたいと思った時は、東洋医療や宗教的な無意識を体系づけた学問というのが有効になってくる。科学的でないと否定する向きもあるかもしれないが、これらの無意識の学問は長い時を積み重ねてきた知の結晶なのである。


まぁ、僕的にはもうちょっと西洋医療寄りの人たちの話も聞きたかったなぁという所だけど、「気」や「悟り」がそれなりに論理的に組み立てられた学問であると知ることができた。ただ、それらのビリーバーが読んで食い足りる内容ではなかろうね。


2冊め。『人はなぜ恋に破れて北へ行くのか』椎名誠著。


シーナさんのエッセイ集である。僕がブログで書く文章の師匠はシーナさんであるとは前に書いたか? かなり速筆の作家だから粗製乱造というぐらいエッセイ集は出しまくっている人である。シーナさんのエッセイも沢山読んでいる人なら、殆ど同じ内容の焼き直しだということも分かるだろう。基本的にはそこら辺の島や海外に行って、雑魚釣りをして、焚き火をして大騒ぎする。そして、毎日酒を飲んで、日本社会にお小言を送るという内容である。だけど、この人の文章は面白い。独特の言語感覚をしていると思う。いわゆる昭和軽薄体と呼ばれる文体である。シーナさんが始めた文体だけど今では色んなエッセイストに影響を与えていると思う。72歳の老人と呼べる年齢であるがそこらの若者よりもエネルギッシュな爺さんだろう。小学生の頃に読んだ「わしら怪しい探検隊」からのファンとしては、一度は会ってみたい人である。


3冊目。『パン屋を襲う』村上春樹著。


村上春樹が書いた絵本である。文体や描写は村上流を貫いているが、全体で77Pという薄さは食い足りなさを感じたな。作品自体は1981年頃の初期で書いた作品に続編を付けて、カット・メンシックというイラストレーターが挿絵を付けた絵本である。


作品の概要を書いてもいいかな? 嫌な人は読み飛ばしてね。


ある主人公は実存的に空虚な空腹を覚えて、パン屋を襲撃することを企てる。パン屋に強盗に入ったら主人はパンは自由に食べてもいいが条件を付ける。それはワグナーの音楽を一緒に聞くという事だった。それは一種の呪いだった。それから主人公は結婚して奥さんと暮らすが、社会的な生活が出来ない二人で、再び実存的な空腹に襲われる。二人は東京中をパン屋を探して彷徨う。結局、マクドナルドで妥協した二人は強盗に入る。二人でビックマックを頬張り空腹を癒やす。


文章力がない僕の桔梗だからつまんなく見えるけど、村上作品らしい描写を読めると思うよ。村上春樹ファンなら読んでおいて損はないだろう。ただまぁすっげぇ短編だからこれで終わり?って所で終わっちゃうね。


あとがきで書いてあったけど、夫婦のキャラクターの造形が『ねじまき鳥クロニクル』の岡田夫妻に繋がっていく作品らしいね。『ねじまき鳥クロニクル』は僕が一番好きな村上作品である。村上春樹の理想とする夫婦像なんかが垣間見える作品ではなかろうか?


さて、今日はこんな感じで終える。今週末がクリスマスである。それまでにクリスマスカードのイラストを描ければ良いんだけどな。時間はあるけど手が遅いからね。それから怒涛のように年末がやってくる。師走だよ諸君。

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